花炭の留意点



早乙女 こじま(編集)2024.2.13

炭出し・花炭 2023.2

2023年2月11日(土)

まず、初めにこの日の『里山風景』をごらんくださいますでしょうか。前日2/10金曜日に降り積もった雪がまだまだたくさん残っています。足元はぬかるみですが、この雪の下はもしかしたらあったかいのではないかと思ったりします。

ね! ふわふわ?

この日は大晴天だったにもかかわらず、雪のせいで活動に参加できなかった方が何人もいらっしゃいました。そんな中での炭出しと花炭づくりでした。

窯の中にあった炭は去年の今頃に焼いた炭です。焼きあがった炭はすぐには窯から出すことなく、次に炭材を詰める直前まで中に置いておきます。窯の内部の乾燥を保つのに好都合だからです。(取り出した炭の保管場所を考えなくて済みますしね。)

来月3月の活動にて窯詰めをおこないます。年間計画では2月の連休を利用して炭焼きを行う予定でしたが、詰める材の準備が間に合いませんでした。材を作るには木を伐らなければならないからです。


窯にはこんな感じの炭があります。黄色く光って見えるのは照明のせいです。中は暗いので、明るく照らします。光の具合で白く見えますけれど、黒い炭です。ちょっと不気味ですね。

窯の入り口までびっしり詰めた材も炭になれば、量はぐっと減り、ごらんの状態になります。今回の炭のでき具合と量はどうだったのでしょうか。報告を待ちたいと思います。

中は狭いために炭出し作業は楽なものではありません。姿勢がしんどいばかりでなく、顔や体中が灰だらけ、炭の粉だらけになりますから、この作業の際のマスク着用は以前から必須でした。

このようにミで受けて窯から取り出します。このあと、段ボール箱や袋に詰めて計量します。

全景はこんな感じです。(下の写真)

さあて、一方、手前の広場では「花炭つくり」が行われています。

今年はあたりがぬかるんでいたために焚き火を作るのが難しかったようです。それでも、写真のように無事にセットすることができました。缶が13個ほどもあります。ひとグループで2個か3個焼いていたりもしましたが、とにかく、過去最高のエントリー数だと思います。たくさんあったので、灰に埋め込むまでには至りませんでしたため、できあがるまでにいつもより長い時間がかかったかもしれません。

雰囲気としては、申し分なし!!

では、完成品を見て行きましょう!

見事です! アソート缶ができました。

これも上出来。どんぐりがたくさん。


くっついていますねー。
カッコいいです。

アメリカふうの実です。何やらに似ているようにも見えます

この下の写真、もう何が何だかよくわかりませんが、美しいです。缶を開けたときに空気が入って燃えてしまわないように温度を下げる目的で入れた水にまだ浸かっています。

今回、ほとんどの方が初めての花炭づくりでした。 缶を開けるたびに、

わーッ!

という歓声がしきり。楽しい時間を過ごしました。


お餅が良い色に焼けています。おいしそうです。花炭缶を焼いている傍らではこのように楽しんでいる方がいらっしゃいます。上のほうに掲載した火床の写真では、向こうのほうにアルミ箔に包まれた焼き芋が見られます。


さて、最後に見ていただくのは雪だるまです。腕と手があるようなところがユニークでかわいいです。雪が解けてきているせいか、目の付き具合のせいか、ちょっと「悲哀」が感じられます。作った子どもたちにしてみれば、そんなことは思いもしなかったでしょうけれども。


もう一度「最後に」ですが...

3年ほどの間、お昼ごはんの汁物は作っていなかったのですが、12月の収穫祭の頃から再開し始めました。この先、続けられるかどうかわかりませんが、とにかく、この日の豚汁はたいそうおいしくできあがりました。46名と、参加者が少なかったにもかかわらず、皆さまがさまざまな具をお持ちくださったおかげです。複合のおいしさとなりました。

いったい何種類の具材がはいったのか、見当もつきません。具材の定番としては、白菜、キャベツ、大根、にんじん、玉ねぎ、ねぎ、じゃがいも、さつまいも、さといも、かぼちゃ、ごぼう、油揚げ(=薄揚げ)がありました。こんにゃくやれんこんはどうだったか。きのこ類はエリンギ、しめじ、マッシュルーム。マッシュルームはちょっと珍しいですね。他に変化球としては、厚揚げ。まだ何か珍しいものがあったのだけど、何だったか。楽しい具材でした。そして、豚汁としての豚コマ肉をクラブで用意しました。

ではまた。
みなさまのお越しをお待ちしております!


記・撮影 こじま  2023.2.14

2022年3月の記事 「花炭とは何だろう?」 にリンクしています。

花炭とは何だろう! 2022.3

2022年3月12日(土)
炭焼きの材の窯詰め(かまづめ)、じゃがいもの植付け、シイタケとナメコ菌の駒打ち

この日の里山活動は、上のとおり、盛りだくさんのメニューでした。その盛りだくさんに加えて、花炭(はなずみ)も作りました。(焼きました、というべきか。)

この記事では、3/12に作った花炭についてお話しします。

物は燃やすと、最後には灰になってしまいますね。けれども、それは酸素が供給された場合のことで、酸素を遮断すると物は炭になります。(ということのようです。)炭はそのようにして作られます。

それと同じことを炭材だけでなく、ほかの物で作ってみようというのがわたしたちの「花炭プロジェクト」です。わたしたちの、と言っても、我々のオリジナルというわけではありません。茶席の飾りに用いられてきた伝統ある工芸です。

物体が真っ黒になってなにが面白い? どこが風流? とお思いの向きもあるだろうとは思います。まあ、そうなんですけど、花炭作りの面白さは、形が元のままで炭になるだろうか、燃えて灰になってしまわないだろうか、反対に焼きが足りなくて炭にならないんじゃないだろうか、という心配を乗り越えて成功したときの喜びと、意外な物が意外に素晴らしい炭になったりする驚きにあります。また、じっと見ていると吸い込まれるような黒、深みのある黒を実現することもすてきな経験です。

口上はこれくらいで、できあがった花炭をごらんくださいませ。

これは上々の出来! 上から順に栗のイガ、まつぼっくり、右角に見えるのはセミの抜け殻か。中央は細長いタイプのカサ、左側はアメリカふうの実。それから、マカロニかな。

今回初めて知ったのは、こんなふうにマカロニを下に敷くと、上に載せた物とくっついて一体型の花炭ができあがるということです。スタッフのさおとめさんいわく、ひとつずつ単体に仕上げたいときはアルミ箔にひとつひとつを包むと良いだろうとのことです。来年はそうしてみる? でも、一体型を作りたいときはこの方法で。

これもとてもおもしろくできあがりましたね。文字の浮き出たビスケットが秀逸です。まつぼっくり、アメリカふうの実、レンコン、小枝、オクラ、ねじねじマカロニなどなどが見えますね。左のはっぱのすぐ上に見えるのはセミの抜け殻でしょうか。きれいに仕あがっています。

栗のイガがきれいに焼けています。ここでもまつぼっくり、アメリカふうの実が見えます。独楽ようの形は何の実だったでしょうか。わたしはこれがとても好きです。イガの針はとても繊細で、触るときは指先に細心のやさしさが必要です。

引き続き、何枚かごらんください。どれもとても良く焼けています。入れる材料、缶の大きさと入れる物の量のバランス、そして、焼く時間の長さが仕上がり具合に影響するようです。今年は大成功と言えます。毎年こううまくはいかないかもしれませんよ。

写真では、光が当たる加減で黒く見えたり、銀色に光ったり、ベージュ色に見えたりします。

これは細い竹を輪切りにしたものです。太めの輪切りはペン立て、スプーン立てに使えます。花瓶にも使えるかもしれませんが、水を入れると染み出てくるかもしれない。

細いのは何に使いましょうか。お酒飲んでみる? 後ろに見える缶は焼いた後です。焼いている間に缶の蓋がはずれないように針金で十文字にしばりますから、四角の缶のほうが縛りやすいのですが、普通は丸い缶のほうが多いかもしれません。丸缶のときは蓋にくぼみを付けて針金が滑り落ちないようにして使います。

缶はどんなところで焼くのかな、という疑問をお持ちの方にはこの写真が答えです。焚き火の灰に缶を埋め、1時間半から2時間ほど焼き続けます。上の写真は6つほどあった缶をすべて取り出した空寝床です。

で、できあがった花炭はどうする? という疑問も出てきますね。わたしはハンカチやレース編みに乗せたり、カゴに入れたりして、棚の上などに飾っています。ただ、長い間にはホコリが付くこともあり、その際、毛バタキなどでパッパッと払うわけにもいかず(こわれやすいので)、少々困惑します。

ちょっと興味を持たれた方、いらっしゃいますか?! 来年は作ってみませんか!


最後にひとつ、思い出したこと:
もう何年も前のこと、東松山市に住む親せきから聞いた話。近所にある市民センターに陶芸教室があり、焼窯が備わっていたとのことです。ある時、窯が原因で夜に火事になったよし。翌日行ってみると、部屋の中が炭になっていたと。家具なども炭に。えーっ、それはスゴイ! 見ものだっただろうな。よほど密閉された建物だったのか。


(こじま) 2022.3.14

今年もふうの実の花炭をやってみた

2020年2月


ふうの実の花炭毎年2月の炭焼きの時、コナル広場でたき火をして夏の案山子の残骸や薪にならない木の枝などを燃やします。その火(=灰)を利用して花炭を作ります。

花炭とはドングリ、松ぼっくり、栗などの木の実や、果物、野菜などを炭化し、インテリアの飾りにするものです。元々は茶室の飾りとして用いられたと聞いています。

真っ黒こげにして何がいいの? と思われる方もいらっしゃるでしょうが、完成品を見れば考えが変わるかもしれません。この「黒」を見ていると引き込まれます。

わたしは作品自体に興味がありますが、いかに美しく作るかということにより興味を抱く人もいます。中身は缶に詰めて、針金で缶をしっかりしばって灰に埋めますが、缶の大きさに比して中身が少ないと缶の中の空気が多く、中身が燃えてしまい、結果は「灰だけ」となってしまいます。

また、時間を長く焼き過ぎると形がくずれてしまいます。加減が難しいです。殊に、果物や野菜は水分が多いので、うまく作るのはたいへん難しいです。

焼きあがって缶を開ける時は緊張します。できてるかな~。どうなったかな~。あら~、けっこうできてるじゃん、などなど。

一枚目の写真は、2019年2月に作った作品です。手前の右の仕切りにはいっているのができあがったものです。「アメリカふうの実」と言います。とあるところで拾ってきました。手前の左側の仕切りにはいっているのは同じふうの実の焼かれる前の姿です。炭になるとひとまわり小さくなります。ふうの実のイガイガがきれいに残っています。成功作品と言えるでしょう。

さて、二枚目の写真は今年2020年2月に作ったものです。ふうの実以外に松ぼっくりや枝もあります。今回は焼き過ぎたようです。形がくずれてしまったものが多いです。残念でした。

でも、ま、これに懲りずに来年もやります! 一年の間、四角い缶を取っておく、中身になりそうなものを集めておくが宿題です。来年2月には皆さんもやってみてくださいませ。 


こじま  2020.2.8