2023年2月12日(日)
みなさま、長池公園の梅園にいらしたことがおありでしょうか。そう、梅園があって、この梅の開花の時期、週末には大勢の人が観梅に訪れます。多くは紅梅で、2月半ばには花が終わります。本数は少ないのですが、そのあとに白梅が咲きます。ですけれども、開花期の早い遅いは紅白の違いに由来するのではなく、梅の種類によるものだということも聞きました。
では、その梅園の風景をごらんください。
美しいですね...と思いますよね。でも、正確に言えば、ごちゃごちゃ伸び放題のあまり健康でない梅たちなんです。何年もの間、あまり剪定もされずに過ぎて来ました。枝が込み合うと蒸れて、病気になったり害虫にやられたりします。枝が固まっていると、鳥が入れず、虫を食べることができないとも言われます。近年は梅の実付きも良くないようです。(もっとも、紅梅の梅は食用に向かないとも言われますが、どうでしょうか。)
そこで、長池里山クラブでは、剪定の方法を学び、健康で将来性のある梅園に育てようと、講師をお呼びして、3回の講習会を開きました。講習会は12月、1月と一回ずつ開催し、この日は3回目最終回でした。
朝、学び手たちが集合したところで、開講挨拶から始まりました。今回は全員で14名です。梅園へと移動します。
講師より全体説明を聞き、個々の木の剪定に進みます。もう3回目なので、すぐに剪定の実地作業を始めます。ふたりか三人で組んで二本ほど担当します。
講師が木を一本一本回って、剪定する枝の選ぶ根拠をそれぞれの木の担当者に説明していきます。樹形全体が三角形を形作るように、間違った方向に伸びてしまった枝を落としていきます。伸び放題になっていたので、どの枝を落とすのかを決めるのは至難のわざです。講師の説明を聞けば、なるほどー...ですが、講師より三つほどの選択肢を与えられると、そのあとの悩みは尽きません。自分で考えはするものの、難しい試験問題を解くときのように顔がしかまってしまいます。
切り落とすべき枝には次のようなものが。
・徒長枝(とちょうし):枝の途中から他の枝と比べてとっぴょうしもなく勢いよく上方へ伸びている
・平行枝:複数の枝が平行に伸びている
・車枝(くるまえだ):ある部分一ヵ所から3本以上の枝が放射状に伸びている
・逆さ枝(そういう名称かどうか):枝の途中から生えた枝が外へ向かって伸びずに幹の方向へ内向きに伸びている
・もどり枝(そういう名称かどうか):外へ向かって伸びている枝が突然内向きに曲がって伸びている
などが剪定すべき枝であると、今回学びました。でもね、互いの枝々の伸び具合を見ながら、切るべき枝を決めなければなりません。ふはーッ!
では、受講者の奮闘ぶりをごらんいただきましょう。
下の写真の木をごらんください。枝がごちゃごちゃに伸びていますね。どの枝を落とすべきか、考えてみてください。いかがでしょうか。根元に近い部分ですでに二つに分かれていて、どのように考えるべきか、難しそうです。
違う木ですが、この写真は剪定し終えたものです。樹形がかなり整ったように思いますが、いかがでしょうか。枝が成長する際、このような可能性もあるし、あのような可能性もあるという場合は、その枝の剪定を来年に持ち越す場合もあります。
講師のお話しによりますと、4月頃に葉が出始めると、今回の剪定の結果が少し見えて来る、7月には樹形がはっきりしてさらに結果が分かって来るとのことです。それを来年の剪定の教訓とし、剪定のつど、結果を確認することを続けると、3年ほどののちには剪定をかなり理解できて来る、ということです。写真による記録も役に立つとのこと。
今回、枝を切っちゃってもったいないという声も聞かれましたが、そこは心を鬼にして、将来の梅の木のことを思って切りましょう。
さあ、下の写真、これは何だかおわかりでしょうか。
正解は、紅梅の切り口です。何とまあ、きれいな色か!(この色は木がまだ湿っているときの状態で、乾燥してくるとだんだん黄色くなりました。)
午前10時から午後3時半、選定作業の間、大勢の方が観梅にいらっしゃいました。(おっと、漢字変換を間違いました。「剪定」です。枝を「選定し」、「剪定する」ので、あながち間違いじゃないかもです。)切り落とした枝には、すでに散りつつあるとは言うものの、まだ赤い花がたくさん付いていたので、皆さん、喜んでお持ち帰りになりました。「梅の剪定講習会」ならぬ、「梅の枝無料配布会」のようでした。ちなみに、50組以上の方に枝をお分けしたかなと思います。
二日前の雪空とは打って変わった晴天、降り注ぐお陽様の光、たいそう暖かく、梅の香りに包まれ、大勢の観梅者の楽しそうな様子に心暖まる一日でした。(いえ、もちろん勉強もしました。)
付録です。講師のことばで、枝を切ることをさまざまな言い方をしていたのが興味深かったです。落とす、切るは普通。はずす、はねる、あと二つほどあったのですけど、忘れてしまいました。
記・撮影 こじま 2023.2.14